1-1 世界中のサーバーを借りる

大きなお店へ行くと、最初に受付で用件を聞かれます。受付で答えられることなら、奥の担当者を呼ばずに済みます。
いま読んでいるこのサイト(Cloudflare Lab)でも、読む人とページの置き場の間に受付が必要でした。でも「Cloudflare に置く」という言葉だけでは、受付と本社のどちらに置くのかが分かりません。
そこで、お客さん、受付窓口、本社の三つに分けます。この並びが見えれば、後の設定も「どこを変える話か」で整理できます。
Learning goals
この節でできるようになること
- お客さん・受付窓口・本社の位置を自分の言葉で説明できる
- 世界中の窓口から近い場所が応対する理由を説明できる
- 同じ番号で近い窓口につながる仕組みを説明できる
- 本社の前に置く方法と窓口側で作る方法を比べられる
1. お店には受付がある(利用者・Cloudflare・Origin server)
Section titled “1. お店には受付がある(利用者・Cloudflare・Origin server)”たとえるなら、サイトを見る人はお客さんです。ページやデータを元から持つ場所が本社で、その手前で用件を聞く場所が受付窓口(Cloudflare のネットワーク)です。
Cloudflare では、この元の置き場を Origin server(オリジンサーバー) と呼びます。Cloudflare の受付は、お客さんからの通信を先に受けます。
実物では、ブラウザがお客さんに当たります。既存の Web サーバーが本社に当たり、Cloudflare はその間で返事を作るか、本社へ取り次ぎます。
受付で返事が完成すれば、本社へ毎回連絡する必要はありません。反対に、本社にしかない品なら、受付が用件を取り次ぎます。この区別が、問題の場所を探す手がかりになります。

図の見方は左から右です。お客さんの用件は、いきなり本社へは行かず、まず受付が受け取ります。
つまり、Cloudflare の位置を知るには、先にお客さんと本社を分けます。
2. 窓口は世界中にある(グローバルネットワークとデータセンター)
Section titled “2. 窓口は世界中にある(グローバルネットワークとデータセンター)”一店舗だけの受付では、遠くのお客さんほど移動が大変です。全国に同じ受付があれば、お客さんは近い場所で用件を伝えられます。
これを Cloudflare では グローバルネットワーク と呼びます。受付窓口のある一つ一つの建物は、データセンター と呼ばれます。
実物では、通信は Cloudflare のネットワークへ入り、到達できる拠点で処理されます。利用者に近い側は Edge(エッジ=窓口側) とも呼ばれます。

図に並ぶ各地の受付は、別々の会社ではありません。同じ Cloudflare のネットワークとして働きます。
つまり、Cloudflare は特定の一台ではなく、各地に広がる受付網です。
3. どの窓口も同じ番号(Anycast)
Section titled “3. どの窓口も同じ番号(Anycast)”窓口ごとに電話番号が違うと、お客さんは現在地に合わせて調べ直す必要があります。同じ番号で近い窓口につながれば、その手間がありません。
これを Cloudflare では Anycast(エニーキャスト) と呼びます。同じ接続先を複数の場所から案内し、ネットワークが到達先を選ぶ仕組みです。
実物では、Cloudflare を通す設定の名前に対して、Cloudflare の接続先が案内されます。お客さん側は、窓口の場所を一つずつ選びません。

三つの電話機は同じ番号です。光っている一つが、今回のお客さんへ応対する窓口を表します。
つまり、同じ入口を使いながら、各地の受付網へつながります。
4. 前に受付を置くか、受付を店にするか(Built with / Built on Cloudflare)
Section titled “4. 前に受付を置くか、受付を店にするか(Built with / Built on Cloudflare)”既に本社がある店なら、その前に受付を足せます。新しい店なら、受付の建物に売り場まで用意し、本社を別に持たない作り方もできます。
Cloudflare の公式資料では、前者を Built with Cloudflare(既にあるアプリケーションに Cloudflare を足す。窓口が本社の手前に入る)、後者を Built on Cloudflare(Cloudflare の上に作る。Cloudflare 自身が本社=Origin server になる)と呼び分けています。似た言葉ですが、「with(一緒に)」は本社が別にある形、「on(上に)」は本社そのものが Cloudflare になる形です。いま読んでいる Cloudflare Lab は後者の Built on です。
本社の前に受付を置く
受付の建物を店にする

上段では本社が残り、下段では受付の建物がお店そのものです。どちらもお客さんから見た入口は Cloudflare 側にあります。
つまり、「Cloudflare を使う」だけでは、二つの作り方を区別できません。
5. Cloudflare Lab での使われ方
Section titled “5. Cloudflare Lab での使われ方”ここまでの内容が、いま読んでいる Cloudflare Lab でどう使われているかを見ます。
たとえるなら、Cloudflare Lab は受付側にパンフレット棚と対応マニュアルを置いた店です。本社へ電話しなくても、窓口側でページを渡せます。
Cloudflare の言葉では、Cloudflare Lab は Workers と Static Assets で作られています。ダッシュボードでは次の経路で店を確認できます。
ここからは正式な名前で確認します。
上から利用者、Cloudflare Network、Origin server の順です。Cloudflare Lab は中央の Cloudflare 側で返事を作るため、通常の表示では下の本社へ進みません。
第2章の実測では、cf-ray の末尾が KIX でした。これは「関西の建物が対応した印」として観察した値です。
同じ URL を別の場所や時刻から開けば、別の建物が応対することもあります。KIX は店の住所ではなく、今回の返事を扱った場所の印です。特定の建物へ固定されたとは考えません。
つまり、Cloudflare Lab の主な置き場は、Cloudflare の受付窓口側です。
つまずきやすいところ
Section titled “つまずきやすいところ”この節のまとめ
Section titled “この節のまとめ”- Cloudflare は、お客さんと本社の間にある受付窓口です。
- 世界中の窓口が同じ入口を使い、届いた場所で応対します。
- 本社の前に置く方法と、受付側で店を作る方法があります。
この節で出てきた言葉を、つながりの順に並べると次のようになります。
図のラベル: お客さん ブラウザ / 受付窓口 Cloudflare のネットワーク / どの窓口も同じ番号 Anycast / 本社 Origin server / 前に置く Built with Cloudflare / 上に建てる Built on Cloudflare
次の節では、お客さんが名前を調べてから返事を受け取るまでを追います。
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