20-1 裏口からの専用通路(Tunnel とは)
第 19 章までに扱ってきたものは、すべて Cloudflare の中にありました。だから外から誰でもたどり着けます。
困るのは、見せたいものが手元のパソコンの中にある場合です。手元の機械は家の回線の内側にあり、外から名前を引いてもたどり着けません。昔ながらのやり方は、家の入口の扉(ポート)を開けて、外の人が入ってこられるようにすることでした。
いま読んでいるこのサイト(Cloudflare Lab)でも、公開前の画面を外の端末から確かめたい場面があります。扉を開けずに見せる方法が要ります。ここでは、扉を開けない考え方、通路の両端、通せるもの、入る人を確かめる仕組みの順に見ます。
Learning goals
この節でできるようになること
- 扉(ポート)を開けずに外から届く仕組みを説明できる
- 通路の両端が何と何かを言える
- 通路に通せるものを 3 つ挙げられる
- 通路を作っただけでは足りない理由を説明できる
1. 表の扉を開けない
Section titled “1. 表の扉を開けない”外から人に来てもらうには、表の扉の鍵を開けて待つのが普通です。けれども鍵を開けて待つ限り、誰が来ても扉は開きます。
Cloudflare では、この困りごとを Cloudflare Tunnel(クラウドフレア・トンネル)で解きます。公式は、外から引ける IP アドレスを持たなくても、手元の資源を Cloudflare へ安全につなげる方法だと説明しています。外から来てもらうのではなく、手元で動く軽いプログラムが Cloudflare のネットワークへ outbound-only(出ていく向きだけ)のつながりを作ります。
一度つながれば、通信はその通路の中を両方向に流れます。公式は、ほとんどの firewall(通信の関所)が出ていく通信を既定で通すため、入ってくる通信をすべて止めたままにできる、と説明しています。
表の扉は閉じたままで、線は内側から外へ向かって出ています。
つまり、通路は「外から開けてもらう」のではなく「内側から出ていく」形でつながります。
2. 通路の両端
Section titled “2. 通路の両端”通路には入口と出口があります。入口で待つ係と、出口で受ける窓口の両方がそろって初めて通れます。
Cloudflare では、入口で待つ側を cloudflared(クラウドフレアード)と呼びます。手元で動く軽い常駐プログラムです。出口側は Cloudflare のグローバルネットワーク、つまり第 1 章の受付カウンター網です。
公式は、通路そのものが UUID(重複しない長い番号)で識別される永続的なもので、手元と Cloudflare を結ぶ論理的な線だと説明しています。同じ通路の中では必要なだけ cloudflared を走らせられ、その 1 つ 1 つを connector(つなぎ手)と呼びます。各 connector は、最も近い Cloudflare の data center へ通信を送ります。
左が手元の案内係、右が受付カウンター網で、間の 1 本の線が通路です。
つまり、通路は番号で管理され、両端は手元の cloudflared と Cloudflare のネットワークです。
3. 何が通せるか
Section titled “3. 何が通せるか”通路を掘ったら、次に気になるのは「そこに何を通せるのか」です。
公式は、Cloudflare Tunnel が HTTP の Web サーバー、SSH(遠くから機械を操作する仕組み)のサーバー、リモートデスクトップ、そのほかの protocol を安全に Cloudflare へつなげる、と説明しています。
通路の中を、Web の画面・遠隔操作・画面共有の 3 種類が並んで通っています。
つまり、通せるのは Web の通信だけではありません。
4. 通しただけでは誰でも入れます
Section titled “4. 通しただけでは誰でも入れます”通路の出口に看板を出すと、その名前を知っている人は誰でも来られます。関係者だけに見せたいなら、出口に警備員を立てる必要があります。
Cloudflare では、その警備員が第 9 章の Access です。公式の手順にも、通路にホスト名を割り当てるとインターネット上の誰もがその名前でたどり着けるようになり、特定の人だけを許可したり止めたりするには Access の application(守る対象の登録)を作る、と書かれています。
通路は「届くようにするもの」、Access は「入る人を確かめるもの」です。片方だけでは、公開前の画面が世界中に見えます。
通路の出口に警備員が立ち、入る人を確かめてから先へ通しています。
つまり、外に見せたくないものは、通路に Access を重ねて守ります。
Cloudflare Lab での使われ方
Section titled “Cloudflare Lab での使われ方”ここで紹介した専用通路が、いま読んでいる Cloudflare Lab でどう使われるかを見ます。
Cloudflare Lab のサイト自体は Cloudflare の中で動いているので、通路は要りません。この章の教材は作者の手元のパソコンです。手元の公開前の画面を、扉を開けないまま外の端末から確かめる使い方を予定しています。実測(通路の名前・つながるまでの時間)は実装後に追記します。
つまずきやすいところ
Section titled “つまずきやすいところ”この節のまとめ
Section titled “この節のまとめ”- Cloudflare Tunnel は、表の扉を開けずに内側から掘る専用通路です。
- 通路の両端は、手元の cloudflared と Cloudflare のネットワークです。
- 通路には HTTP・SSH・リモートデスクトップなどを通せます。
この節で出てきた言葉を、つながりの順に並べると次のようになります。
図のラベル: 表の扉を開けたくない / 内側から掘る通路 Cloudflare Tunnel / 手元の案内係 cloudflared / 出ていく向きだけ outbound-only / 受付カウンター網 Cloudflare のネットワーク / 通せるもの HTTP・SSH など / 入る人を確かめる Access
次の節では、通路の入口で待つ案内係(cloudflared)を手元に用意します。
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