13-1 同じ人が来すぎる(Rate Limiting とは)
前の章の検問は、1 通の用件票を見て通すか止めるかを決めました。ところが、用件票のどこにも止める理由が書いていない困り方があります。同じ人が短い間に何十回も来る、という困り方です。
一回一回は普通の用件です。それでも同じ人が続けて来ると窓口が埋まり、他のお客さんが並べなくなります。悪意が無くても起こります。
いま読んでいるこのサイト(Cloudflare Lab)も同じ心配を抱えます。ここでは、整理券の考え方、置く場所、検問との違い、無料で使える範囲の順に見ます。
Learning goals
この節でできるようになること
- 回数を数えて上限を決める仕組みを日常語で説明できる
- 整理券を置く入口の例を三つ言える
- 検問との違いを、決めるときに見るもので言える
- Free で使える本数と時間の目盛りを言える
1. 回数を数えて上限を決める
Section titled “1. 回数を数えて上限を決める”窓口の横に整理券の機械を置き、同じ人が短い間に頼める回数に上限を決めます。上限までは今までどおりで、超えたら扱いを変えます。
Cloudflare では、この整理券を Rate limiting rules(回数の上限の決まり)と呼びます。公式は、条件文に一致するリクエストへ回数の上限を定め、その上限に達したときに行う処置を決めるものだと説明しています。
実物では、決まりは 1 本ずつ作ります。この章の題にある Rate Limiting は、この機能の呼び名です。
窓口の横に整理券の機械と台帳が置かれ、同じ人の回数がそこに積み上がります。
つまり、Rate Limiting は「同じ相手の回数を数えて、超えたら扱いを変える」決まりです。
2. どこに置くか
Section titled “2. どこに置くか”整理券は全部の窓口に要るわけではありません。混むのは、鍵を試す窓口や申込用紙の窓口のように、決まった場所です。
公式は、使いどころの例として、鍵の窓口(login endpoint)を brute-force attacks(総当たりで鍵を試す攻撃)から守ること、1 つの相手が決まった時間内に呼べる API の回数に上限を付けることを挙げています。
実物では、ログインの入口・申込フォームの送信先・API の三つが定番です。読むだけのページには置きません。
鍵の窓口と申込用紙の窓口にだけ整理券の札が立ち、読むだけの窓口には立っていません。
つまり、整理券を置くのは「同じ相手が繰り返すと困る入口」だけです。
3. 検問との違い
Section titled “3. 検問との違い”検問は、1 通の用件票を読んで、その場で通すか止めるかを決めます。整理券は、用件票 1 通では決められません。台帳を見て、その人が今までに何回来たかを数えます。
公式は、Rate limiting rules も他の決まりと同じく expression(条件文)と action(処置)を持つが、それに加えて次の四つが要ると説明しています。Characteristics(誰を同じ相手とみなすかの目印)、Period(何秒を見るか)、Requests per period(その間に何回まで)、Duration(超えた後どれだけ続けるか)です。
実物では、検問も整理券も同じ守りの決まりで、窓口では上から順に見られます。公式は、決まりが順に評価され、Block のような処置は以降の評価を止めると説明しています。
左の検問は用件票を 1 枚だけ見て、右の整理券は台帳の回数を見ています。見ているものが違います。
つまり、検問は 1 通で決め、整理券は数えてから決めます。
4. Free で使える範囲
Section titled “4. Free で使える範囲”整理券の決まりは、契約によって出せる本数と目盛りが決まっています。無料の契約では、どちらも一番小さい設定です。
公式の Availability の表では、Free は決まりが 1 本です。条件文に使えるのは Path(道筋)と Verified Bot(確認済みの巡回プログラム)で、数える目印は IP です。数える窓(Counting periods)は 10 秒、処置を続ける時間(Mitigation timeout periods)も 10 秒です。
- 決まりの本数(Free)
- 1 本
- 数える窓(Free)
- 10 秒
- 処置を続ける時間(Free)
- 10 秒
上位プランでは、決まりが Pro で 2 本・Business で 5 本になり、数える窓も Pro で最大 1 分・Business で最大 10 分まで選べます。
無料の掲示板には整理券の決まりが 1 枚だけ貼れ、目盛りは 10 秒に固定されています。
つまり、Free では整理券の決まりを 1 本、目盛りは 10 秒で考えます。
Cloudflare Lab での使われ方
Section titled “Cloudflare Lab での使われ方”ここで紹介した整理券が、いま読んでいる Cloudflare Lab でどう使われるかを見ます。
Rate Limiting は電話帳 1 冊(zone)ごとの設定なので、独自ドメインを用意した後に置きます。Cloudflare Lab は Free plan なので、置けるのは 1 本、目盛りは 10 秒です。実測は実装後に追記します。
つまずきやすいところ
Section titled “つまずきやすいところ”この節のまとめ
Section titled “この節のまとめ”- Rate Limiting は、同じ相手の回数を数えて上限を決める整理券です。
- 置くのは、鍵の窓口・申込用紙・API のような「繰り返されると困る入口」です。
- 検問は 1 通で決め、整理券は目印・期間・回数・継続時間の四つを足して決めます。
この節で出てきた言葉を、つながりの順に並べると次のようになります。
図のラベル: 同じ人が来すぎる / 回数を数える整理券 Rate limiting rules / 条件文と処置 expression / action / 目印・期間・回数・継続 characteristics / period / 守る入口 login endpoint / API / Free は 1 本・10 秒
次の節では、その台帳が何をどう数えているかを見ます。
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