3-1 仮の住所と自分の住所(workers.dev とドメイン)

新しい店を開くとき、まず本部の敷地に仮の住所をもらって営業を始めることがあります。すぐ使えて便利ですが、その住所は本部の名前が入っていて、自分の店らしくありません。
いま読んでいるこのサイト(Cloudflare Lab)も、第 2 章で cloudflare-lab.osdse.workers.dev という仮の住所で開店しました。ここから、自分の店名を持つ話に進みます。
ここでは、仮の住所の位置づけ、店名の仕組み、登録窓口の役割を順に見ます。
Learning goals
この節でできるようになること
- 仮の住所(workers.dev)の位置づけを自分の言葉で説明できる
- 店名の末尾(TLD)と元締め(registry)の関係を説明できる
- Cloudflare Registrar が何をする窓口かを説明できる
1. 仮の住所札の位置づけ(workers.dev)
Section titled “1. 仮の住所札の位置づけ(workers.dev)”本部から借りた仮の住所札は、開店初日から使えます。でも、ずっとその札で営業する店は少なく、いずれ自分の看板を掲げます。
Cloudflare では、この仮の住所を workers.dev と呼びます。公式は、本番の Worker は Workers route か custom domain で動かすことを推奨し、workers.dev の subdomain は個人や趣味向けの Free website として扱う、と書いています。
実物では、workers.dev の URL は <Worker 名>.<account の subdomain>.workers.dev の形です。Cloudflare Lab なら cloudflare-lab と osdse の組み合わせでした。

左が本部の札を下げた店、右が自分の看板を掲げた店です。どちらも同じ受付が応対しますが、お客さんに見える名前が違います。
つまり、workers.dev は始めるための住所で、続けるための住所ではありません。
2. 店名の末尾には元締めがいる(TLD と registry)
Section titled “2. 店名の末尾には元締めがいる(TLD と registry)”店名は好きに名乗れるわけではありません。末尾ごとに台帳を管理する元締めがいて、そこに登録して初めて世界中で通じる名前になります。
インターネットでは、この店名を ドメイン(domain) と呼びます。末尾の .dev や .com が TLD(top-level domain=店名の末尾) で、それぞれを registry(台帳の元締め) が管理しています。
実物では、同じ店名でも末尾が違えば別のドメインです。値段も末尾ごとに違い、元締めが決めた定価で更新されます。

台帳の元締めは末尾ごとに別々です。どの末尾を選ぶかで、登録先の元締めが決まります。
つまり、ドメインを持つとは、末尾の元締めの台帳に自分の店名を載せることです。
3. 登録を取り次ぐ窓口(Registrar)
Section titled “3. 登録を取り次ぐ窓口(Registrar)”元締めの台帳に直接書き込むことはできません。役所のように、申請を受け付けて台帳へ登録してくれる窓口を通します。
Cloudflare では、この窓口を Cloudflare Registrar と呼びます。公式は「registry と ICANN の実費だけで、上乗せ料金なし(at cost)」で登録と更新ができ、更新も registry の定価で行われると書いています。
実物では、Registrar で登録したドメインは Cloudflare の DNS を使うことが前提です。つまり、店名の登録と電話帳の管理が同じ場所にまとまります。

窓口は手数料を取らず、元締めの定価をそのまま伝えます。値段は末尾ごとに違い、登録画面で確認できます。
登録に関わる 3 者を、上から下へ並べると次のようになります。
図のラベル: 名義人(registrant) 店名を持つ人=作者 / 登録窓口(registrar) 世の中にたくさんある / その 1 つ Cloudflare Registrar / 台帳の元締め(registry) 末尾(.com)ごとに 1 つ
名義人は窓口へ申し込み、窓口が元締めの台帳へ名前を載せます。窓口は選べますが、元締めは末尾で決まっていて選べません。
つまり、Registrar は「実費で登録し、電話帳も一緒に預かる窓口」です。
4. 電話帳をどこが預かるか(nameserver)
Section titled “4. 電話帳をどこが預かるか(nameserver)”店名を登録したら、その店名の電話帳を誰かが預かります。電話帳の預かり先を nameserver(ネームサーバー) と呼び、Registrar で登録した場合は Cloudflare が預かります。
Cloudflare では、Cloudflare が電話帳を丸ごと預かる形を primary setup(full setup) と呼び、公式は最も一般的な形だと書いています。Free plan でも使えます。
実物では、Cloudflare Lab のドメインも full setup になります。後の章の守り(WAF や Rate Limiting)や速さ(キャッシュ)は、この電話帳が Cloudflare にあることが前提です。

店名の登録、電話帳、受付が同じ Cloudflare にそろいます。バラバラに持つより、確認する場所が一つで済みます。
つまり、この章の選択は「店名も電話帳も Cloudflare にまとめる」です。
Cloudflare Lab での使われ方
Section titled “Cloudflare Lab での使われ方”ここで紹介した仮の住所と自分の住所が、いま読んでいる Cloudflare Lab でどう使われているかを見ます。
Cloudflare Lab は、2026-08-27 に cloud-labos.com を Cloudflare Registrar で登録しました。末尾(TLD)は .com です。作者は今後 AWS・Azure・GCP なども学べる上位のサイトを cloud-labos.com に置く予定なので、Cloudflare Lab はその下の clf.cloud-labos.com に置いています。
電話帳(zone)は Free plan で、預かり方は full setup です。案内された預かり先(nameserver)は algin.ns.cloudflare.com と aron.ns.cloudflare.com の 2 本でした。店名そのもの(apex)にはまだ 1 行も書いていないので、dig +short cloud-labos.com A は何も返しません。上位のサイト用に空けてあるためです。
年額は末尾(.com)の元締めが決めた定価で、ダッシュボードの請求画面に表示されます。
仮の住所 cloudflare-lab.osdse.workers.dev は消していません。第 2 章の実測記録であり、いまも同じ返事を返します。
つまずきやすいところ
Section titled “つまずきやすいところ”この節のまとめ
Section titled “この節のまとめ”workers.devは本部の仮の住所札で、公式は本番には自分の店名を勧めています。- ドメインは末尾ごとの元締めの台帳に載せる店名で、Registrar が実費で取り次ぎます。
- Registrar で登録すると、電話帳も Cloudflare が預かります。
この節で出てきた言葉を、つながりの順に並べると次のようになります。
図のラベル: 仮の住所 workers.dev / 自分の店名 ドメイン / 店名の末尾(TLD)ごとの元締め registry / 登録窓口 Cloudflare Registrar(実費) / 電話帳の預かり先 nameserver = Cloudflare / 店名・電話帳・受付を Cloudflare にまとめる full setup
次の節では、実際に役所の窓口で店名を登録する手順を見ます。
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