17-3 マニュアルから呼ぶ(AI binding)
呼びたい相談役が決まっても、窓口から声が届かなければ意味がありません。窓口とその席をつなぐ内線が要ります。
第 2 章では、鍵や電話帳がスタッフの引き出し(env)に入っていました。相談役への内線も、同じ引き出しに入ります。
いま読んでいるこのサイト(Cloudflare Lab)のマニュアルからも、この内線で相談役を呼ぶことになります。
Learning goals
この節でできるようになること
- 内線(AI binding)が何をつなぐものかを説明できる
- 店舗登録票に書く一行の意味を言える
- 呼ぶときに渡す二つのものを言える
- 返ってくる紙に何が書かれているかを言える
1. 内線を引く
Section titled “1. 内線を引く”窓口から相談役へ声をかけるには、あらかじめ内線をつないでおきます。つないでいなければ、席が近くても呼べません。
Cloudflare では、この内線を AI binding と呼びます。公式は、Worker を Workers AI につなぐには AI binding を作る必要があり、binding は Worker が資源とやり取りするための仕組みだと説明しています。
次は、店舗登録票(wrangler.jsonc)の末尾に足す一行です。読めなくても大丈夫です。「この店に AI という名前の内線を引く」という届け出だと思ってください。
{ "ai": { "binding": "AI" }}これを書くと、公式が説明するとおり、マニュアルの中では env.AI として内線が使えるようになります。
登録票の一行が、引き出しの中の受話器になります。名前は自分で決められます。
つまり、内線は登録票の一行で引きます。
内線がつながったら、受話器を取って用件を伝えます。伝えるのは「誰に」と「何を」の二つです。
公式の例では、env.AI.run に名札と頼みごとを渡しています。次のコードは、文章を作るモデルに質問を一つ投げる例です。読めなくても大丈夫です。
export default { async fetch(request, env) { const response = await env.AI.run("@cf/meta/llama-3.1-8b-instruct", { prompt: "What is the origin of the phrase Hello, World", });
return new Response(JSON.stringify(response)); },};一つ目の "@cf/meta/llama-3.1-8b-instruct" が名札、二つ目の prompt が頼みごとです。公式はこの呼び出しを inference(モデルに考えさせる仕事)と説明しています。
内線で、相手の名札と用件の二つを伝えています。どちらが欠けても呼べません。
つまり、呼ぶときは名札と頼みごとを渡します。
3. 返事の形
Section titled “3. 返事の形”返ってくるのは、答えだけが書かれた紙ではありません。答えの欄と、そのほかの欄がある一枚の紙です。
公式の手順どおりに試すと、{"response": "..."} の形で返ってきます。モデルのページも、response は生成された文章、usage はその依頼の使用量の記録だと説明しています。
同じページには、頼みごとに添えられる指定も並んでいます。max_tokens は返事の長さの上限で、既定は 256 です。temperature は返事のばらつきで、既定は 0.6 です。
返事の紙には、答えの欄と、どれだけ働いたかの欄が並んでいます。
つまり、返事は答えと使用量が入った一枚の紙です。
4. 手元で試す
Section titled “4. 手元で試す”配送する前に、手元で一度呼んでみたくなります。Wrangler には、そのための試運転の命令があります。
npx wrangler dev を実行すると、公式の説明では localhost:8787 のような住所が示され、そこを開くと返事を確認できます。確認できたら npx wrangler login で店主として名乗り、npx wrangler deploy で全国の窓口へ配送します。
ただし公式は、手元での開発中であっても Workers AI は必ず Cloudflare のアカウントに接続してモデルを動かすため、利用の費用が発生すると注意しています。
つまり、手元の試運転も、本番と同じ「呼んだ 1 回」として扱われます。
Cloudflare Lab での使われ方
Section titled “Cloudflare Lab での使われ方”ここで紹介した内線が、いま読んでいる Cloudflare Lab でどう使われるかを見ます。
Cloudflare Lab は Phase 4 で、店舗登録票に ai の一行を足し、第 16 章の目覚まし時計から起きたマニュアルが env.AI.run を呼ぶ予定です。頼みごとには、前日と当日の出典ページの差分を入れます。実装と実測(返事の長さと所要時間)は実装後に追記します。
つまずきやすいところ
Section titled “つまずきやすいところ”この節のまとめ
Section titled “この節のまとめ”- AI binding は、マニュアルと相談役をつなぐ内線です。
- 呼ぶときは、名札と頼みごとの二つを渡します。
- 返事には答え(response)と使用量(usage)が入ります。
この節で出てきた言葉を、つながりの順に並べると次のようになります。
図のラベル: 店舗登録票の一行 ai の binding / 引き出しの受話器 env.AI / 名札と頼みごとを渡す env.AI.run / モデルに考えさせる inference / 返事の紙 response と usage / 手元で試す wrangler dev
次の節では、その作業量をどう数え、どこまで無料かを見ます。
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