10-1 店主の権限が一番大事
店の入口に錠前をいくつ足しても、店主の鍵束を落としてしまえば意味がありません。拾った人は錠前を外して中に入り、警備の決まりごと自体を取り消せるからです。
いま読んでいるこのサイト(Cloudflare Lab)も、この章から先で検問や整理券といった守りを足していきます。ところが、それらの設定はすべて同じ一つの扉の内側にあります。その扉を開けるのが、Cloudflare にログインするための権限です。
ここでは、なぜ店主の権限が先なのか、何を守る対象と考えるか、公式が並べている手立て、そして疑わしいことが起きたときの順番を見ます。
Learning goals
この節でできるようになること
- 店の守りより店主の権限を先に守る理由を説明できる
- 守る対象になる四つ(鍵・郵便受け・合鍵・在室札)を挙げられる
- 公式が並べているアカウントの守り方の項目を言える
- 疑わしいことが起きたときの手順を順番に言える
1. 店より店主の鍵
Section titled “1. 店より店主の鍵”錠前・検問・整理券は、どれも「外から来る人」を止める仕組みです。店主の鍵を持つ人は、その仕組みを付けることも外すこともできます。強さの順で言えば、店主の鍵が一番上にあります。
Cloudflare では、この店主の権限にあたるものをアカウントと呼びます。公式にはアカウントを守るための Account security という区分が用意されていて、日誌・ログイン方法・開いている接続・ドメインの保全がここにまとめられています。
実物では、後の章で扱う検問(第 12 章)も整理券(第 13 章)も、ログインできる人なら数回の操作で無効にできます。だから守りの話は、この節から始めます。
入口の錠前より上に、店主の鍵束が置かれています。上の鍵を持たれると、下の錠前は意味を失います。
つまり、守る順番はいつも「店主の権限が先、店の設定が後」です。
2. 何を守るか
Section titled “2. 何を守るか”店主の鍵は、実際には一本ではありません。鍵そのもの、鍵を作り直すときの知らせが届く郵便受け、人に貸した合鍵、そして今かかっている在室札。この四つが揃って「店主の権限」です。
Cloudflare で対応するものは、パスワード、アカウントのメールアドレス、API の合鍵、そしてログイン中の接続です。公式が乗っ取りの対処として並べている項目も、この四つに沿っています。
メールアドレス(郵便受け)が特に大事なのは、パスワードを忘れたときの再設定がそこへ届くからです。公式は、two-factor authentication を有効にできるのはメールアドレスの確認が済んだアカウントだけで、先に確認しておかないと自分が締め出される可能性があると注意しています。
鍵・郵便受け・合鍵・在室札の四つが並んでいます。どれか一つが緩むと、残りも危うくなります。
つまり、守る対象はパスワードだけではなく、メール・合鍵・ログイン中の接続も含みます。
3. 公式が並べている手立て
Section titled “3. 公式が並べている手立て”守りを点検するときは、思いついた順ではなく、あらかじめ用意された点検表を上から見るほうが漏れません。
公式の Account security には、守り方の項目が一覧で並んでいます。Manage active sessions(開いている接続を閉じる)、Leaked Password Notifications(漏れたパスワードの通知)、Audit Logs(日誌)、Zone holds(ドメインの保全)、Set up SSO と SCIM provisioning(会社としてのログイン管理)、Add abuse contact、Allow Cloudflare access、Secure compromised account です。
実物では、一人で使う小さなアカウントなら、合言葉と合鍵と日誌の三つで大半を守れます。人数が増えたときに、残りの項目が効いてきます。
守りの項目が点検表として並んでいます。上から順に見れば、思いつきの抜けが減ります。
つまり、守り方は自分で考え出すより、公式が並べた項目を上から確かめるほうが確実です。
4. 疑わしいことが起きたら
Section titled “4. 疑わしいことが起きたら”見覚えのない変更に気づいたとき、慌てて一つだけ直すと取りこぼします。順番を決めておくと落ち着いて片付きます。
公式の Secure compromised account は、五つの段階を順番に示しています。パスワードを変える、My Profile の Sessions から今使っている以外の接続を Revoke で切る、two-factor authentication を有効にする、合鍵を作り直す、最後に日誌を見て変えられた設定を戻す、の順です。
合鍵の作り直しには Roll という操作があります。公式は、Roll すると前の合鍵は使えなくなり、新しい合鍵は前と同じ権限を引き継ぐと説明しています。
Cloudflare Lab での使われ方
Section titled “Cloudflare Lab での使われ方”ここで紹介した考え方が、いま読んでいる Cloudflare Lab でどう使われるかを見ます。
Cloudflare Lab は、公式の項目を上から順に確かめる予定です。確かめる順は、合言葉の追加(第 10-2 節)、公開作業に使う合鍵の絞り込み(第 10-3 節)、日誌を見る日の固定(第 10-4 節)です。実装と実測は、この章の作業を終えたあとに追記します。
つまずきやすいところ
Section titled “つまずきやすいところ”この節のまとめ
Section titled “この節のまとめ”- 店の守りより、その守りを外せるアカウントを先に守ります。
- 守る対象はパスワード・メール・合鍵・ログイン中の接続の四つです。
- 疑わしいときは、パスワード・接続の切断・2FA・合鍵・日誌の順に片付けます。
この節で出てきた言葉を、つながりの順に並べると次のようになります。
図のラベル: 店主の権限 アカウント / 守る対象 パスワード / メール / 守る対象 合鍵 / ログイン中の接続 / 公式の点検表 Account security / 合言葉を足す 2FA / 用途を絞る API token / 日誌で追う Audit Logs
次の節では、鍵に合言葉を足す 2FA を見ます。
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