21-1 端末に着せる制服(Cloudflare One client とは)
第 20 章では、店の裏口から Cloudflare まで専用の通路を掘りました。守られるのは店の側です。では、出先のカフェの Wi-Fi を使う人の端末はどうでしょうか。
その回線には店の決まりが届きません。危ない行き先を開いても、誰も止めてくれません。人の側にも何かを着せないと、決まりが効かないことになります。
いま読んでいるこのサイト(Cloudflare Lab)も、作業は出先のカフェや自宅から行います。端末に制服を着せれば、場所が変わっても同じ守りが付いてきます。
Learning goals
この節でできるようになること
- 制服(Cloudflare One client)が何をする道具かを日常語で説明できる
- 端末の通信と名前の問い合わせが Cloudflare を通ることを説明できる
- team name を入れて組織に登録する意味を言える
- 効かせ方の強弱を 2 つの mode の名前で言える
1. 端末に着せる制服
Section titled “1. 端末に着せる制服”制服を着ると、その人がどこにいても所属が分かり、店の決まりが付いてきます。端末にも同じものを着せれば、回線が変わっても守りが変わりません。
Cloudflare では、この制服を Cloudflare One Client と呼びます。公式のページには「formerly WARP」、つまり以前は WARP という名前だった、と書かれています。端末の通信を Cloudflare のネットワークへ安全に送り、そこで Cloudflare Gateway が web の絞り込みを行います。
実物では、パソコンやスマートフォンに入れる 1 本のアプリです。画面で状態を見る部分(GUI)と、裏で通信を担う WARP daemon に分かれています。
制服は場所ではなく端末に付きます。カフェでも自宅でも、同じ決まりが効きます。
つまり、Cloudflare One Client は端末に着せる制服です。
2. 通信と名前の問い合わせを預ける
Section titled “2. 通信と名前の問い合わせを預ける”制服を着ると、荷物の運び方が変わります。今までは近所の運送屋へ直接頼んでいたものを、いったん本部に預けてから送る形になります。
公式は、預け方が 2 通りだと説明しています。1 つは Proxy tunnel で、端末の通信を WireGuard か MASQUE という手順で Cloudflare へ運びます。もう 1 つは DNS proxy で、名前の問い合わせを DNS-over-HTTPS という暗号化された道で Cloudflare へ送ります。
実物では、この 2 本の道があるおかげで「行き先の名前で止める」ことも「中身を見て止める」こともできます。次の節以降で作る決まりは、この道の上で効きます。
通信そのものと、名前の問い合わせが別々の道で Cloudflare へ向かいます。
つまり、制服は通信と名前の問い合わせの両方を Cloudflare に預けます。
3. どの組織の決まりを効かせるか
Section titled “3. どの組織の決まりを効かせるか”制服には名札が要ります。名札が無ければ、どの店の決まりに従うのかが決まりません。
Cloudflare では、この名札にあたるものが team name です。公式は、team name を Zero Trust の組織のための固有で内部的な識別子だと説明しています。端末を手作業で登録するとき、利用者はこの名前を入力します。
実物では、Cloudflare のダッシュボードで Zero Trust を開き、最初の画面で team name を決めます。決めた名前は後から次の場所で確認できます。
名札に組織の名前が入ると、その組織の決まりの束と端末が結び付きます。
つまり、team name は「どの組織の決まりに従うか」の宣言です。
4. 効かせ方の強弱を選ぶ
Section titled “4. 効かせ方の強弱を選ぶ”制服にも、上下そろえて着る場合と、腕章だけ付ける場合があります。守りの強さと端末への影響の大きさは、釣り合いで決まります。
公式は、既定を Traffic and DNS mode と説明しています。端末の通信(既定ではすべての port と protocol)と名前の問い合わせの両方を Cloudflare へ通します。もう一方の DNS-only mode は、名前の問い合わせだけを通します。
実物では、まず軽い側から始めて、必要になったら強い側へ移すと安全です。通信の一部を通さない設定は Split Tunnels で決められます。
つまり、制服は全部着るか、名前の部分だけ着るかを選べます。
Cloudflare Lab での使われ方
Section titled “Cloudflare Lab での使われ方”ここで紹介した制服が、いま読んでいる Cloudflare Lab でどう使われるかを見ます。
Cloudflare Lab の Phase 6 は、サイトの上では試せない領域です。教材の舞台は作者の手元のパソコンで、そこに Cloudflare One Client を入れ、team name で組織に登録する予定です。実測(登録した端末の数、選んだ mode)は実装後に追記します。
つまずきやすいところ
Section titled “つまずきやすいところ”この節のまとめ
Section titled “この節のまとめ”- Cloudflare One Client は端末に着せる制服で、以前の名前は WARP です。
- 端末の通信は Proxy tunnel、名前の問い合わせは DNS proxy で Cloudflare へ渡ります。
- team name で組織に登録すると、その組織の決まりが端末に効きます。
この節で出てきた言葉を、つながりの順に並べると次のようになります。
図のラベル: 出先の端末 / 端末に着せる制服 Cloudflare One Client / 通信を運ぶ道 Proxy tunnel / 名前の問い合わせ DNS proxy / 組織への登録 team name / 決まりが効く Cloudflare Gateway
次の節では、この制服を実際に手元のパソコンへ入れて、組織に登録します。
この節のチェック
© 2026 osdse