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7-1 名前と値の付箋(KV とは)

Plan: Free費用: 0円Wrangler 4.126.0公式ドキュメント取得日 2026-08-27
受付の壁に並ぶ見出し付きの付箋
見出しの付いた付箋なら、探さずに 1 枚を引けます。

受付の裏の帳簿(第 6 章)は、起きたことを行と列で残す場所です。ただ「今日の担当は誰か」「休業日はいつか」といった一言まで帳簿から探すのは遠回りです。

こうした一言は、受付の壁に付箋で貼る方が速く読めます。付箋には見出しを書き、その下に中身を書きます。

いま読んでいるこのサイト(Cloudflare Lab)も、「最後に検証が走った日時」のような一言を、どの窓口でもすぐ読みたい場面があります。ここでは、付箋ボードの正体、届くまでの時間差、向き不向き、帳簿との違いの順に見ます。

Learning goals

この節でできるようになること

  • 付箋ボード(KV)が見出しと中身の組を置く保存先だと説明できる
  • 貼った内容が全窓口に届くまで時間差があることを説明できる
  • KV に向く使い方と向かない使い方を言える
  • 帳簿(D1)と付箋ボード(KV)の違いを言える

壁に貼る付箋には、上に見出しを書き、下に中身を書きます。見出しさえ分かれば、探さずに 1 枚を引けます。

Cloudflare では、この付箋ボードを Workers KV と呼びます。公式は、世界中でデータを保存・取得できる data storage で、高い読み取り量を低い遅延で支えられると説明しています。

付箋 1 枚が key-value の組で、key が見出し、value が中身です。公式が挙げる使い道は、応答の一時保存、利用者の設定や好みの保存、認証情報の保存です。

見出しと中身が書かれた付箋を壁から引く客
見出しを言えば、その 1 枚だけを受け取れます。

壁に並ぶ付箋には、それぞれ見出しが付いています。見出しを言えば、その 1 枚だけを受け取れます。

つまり、付箋ボード(KV)は、見出しと中身の組を置いておく保存先です。

受付で貼った付箋は、その場の壁ではすぐに読めます。ただ、別の街の窓口に同じ付箋が並ぶまでには少し間があります。

公式は、KV は少数の中央のデータセンターにデータを保存し、読まれた後で各地のデータセンターに写しを置くと説明しています。書き込みは central data stores に届き、全拠点の写しへ自動で送られるわけではありません。

そのため、変更は書いた場所ではたいてい即座に見えますが、他の場所では最大 60 秒か、場合によってはそれ以上かかることがあります。この性質を eventually-consistent と呼びます。写しがある状態での読み取りが hot read、写しが無く中央まで取りに行く読み取りが cold read です。

中央の保管所から各窓口へ写される付箋
貼った付箋は中央に届き、そこから各窓口へ写されます。

貼った付箋はまず中央の保管所へ行き、そこから各地の窓口の壁へ写されます。写しが揃うまでに少し間があります。

つまり、貼り替えた内容が全窓口で揃うまでには時間差があります。

同じ付箋を 1 秒に何十回も貼り替える使い方は、受付の手が追いつきません。逆に、めったに変わらない一言を大勢が読む使い方は得意です。

公式は、KV は read-heavy で写しが効く仕事に向くとし、静的な資産の配信、アプリの設定、利用者の好み、allow-lists や拒否リストの実装、一時保存を挙げています。

向かないのは、同じ key を毎秒何十回・何百回も更新する使い方です。公式は、その場合は Durable Objects の方が同じ key への書き込みの上限が高いと案内しています。原子的な操作や、1 つの取引としてまとめて読み書きすることが必要な用途にも向きません。

大勢が読む付箋と書き替え続けられる付箋
大勢が読む付箋は得意、書き替え続ける付箋は不得意です。

大勢が同じ付箋を読む場面は得意で、1 人が同じ付箋を書き替え続ける場面は不得意です。

つまり、大勢が読む一言に使い、何度も書き替える一言には使いません。

帳簿は「いつ・誰が・何を」を行として積み上げ、後から条件で探す場所です。付箋は「今これはこうです」を 1 枚で示す場所です。

公式は、D1 を SQLite の上に作られた、問い合わせできる relational database だと説明しています。KV は見出しを指定して 1 枚を引く形なので、条件での絞り込みや集計はできません。

実物では、検証の記録そのものは帳簿に積み、その要約の一言だけを付箋に貼ります。両方を使い分けます。

帳簿(D1)

行と列で記録を積み、SQL の条件で探せます。集計や並べ替えが得意です。

付箋ボード(KV)

見出しで 1 枚を引きます。探す機能はありませんが、読むのが速く、全窓口に配られます。
行が積まれた帳簿と壁に貼られた付箋
残す記録は帳簿、配る一言は付箋ボードです。

左は行が積み上がる帳簿、右は 1 枚ずつ貼られた付箋です。残すものと配るものを分けます。

つまり、記録と検索は帳簿、読むのが多い一言は付箋ボードです。

ここで紹介した付箋ボードが、いま読んでいる Cloudflare Lab でどう使われるかを見ます。

Cloudflare Lab は Phase 2 で、検証の要約(最後に走った日時、出典が全部生きているかどうか)を KV の付箋として貼る予定です。記録の全文は第 6 章の帳簿に積み、一言だけを付箋に貼ります。実装と実測は Phase 1 の公開後に追記します。

  • 付箋ボード(KV)は、見出し(key)と中身(value)の組を置く保存先です。
  • 貼った付箋はまず中央に届き、各地の窓口へ写されるまでに最大 60 秒かそれ以上かかります。
  • 読むのが多い小さな一言に向き、同じ見出し(key)の書き替えが多い用途には向きません。

この節で出てきた言葉を、つながりの順に並べると次のようになります。

図のラベル: すぐ読みたい一言 / 受付の付箋ボード Workers KV / 見出しと中身 key-value / 中央に保存 central data stores / 各窓口へ写す hot read / cold read / 最大 60 秒の時間差 eventually-consistent / 読むのが多い用途向き read-heavy

次の節では、付箋ボードを実際に 1 枚作り、マニュアルから引けるようにします。

この節のチェック

問 1Workers KV の説明として公式に沿うものはどれですか?

問 2KV に書いた内容が、書いた場所以外で見えるまでにかかる時間はどれですか?

問 3公式が KV に向くとしている使い方はどれですか?

問 4同じ見出しを毎秒何十回も書き替えたい場合、公式が代わりに勧めているのはどれですか?

問 5写しが無く、中央まで取りに行く読み取りの呼び名はどれですか?

最終更新日: