12-2 Cloudflare の手配書(Managed Rules)
前の節で、検問の紙には本部の手配書と自分の紙の 2 種類があると見ました。出回っている手口を店主が一つひとつ調べて紙に書くのは、現実的ではありません。
いま読んでいるこのサイト(Cloudflare Lab)の作者も、攻撃の手口を追う専門家ではありません。知られた手口は、調べている人たちが刷った手配書に任せます。
ここでは、手配書の中身、代表的な束、漏れた合言葉の照合、有効にする経路の順に見ます。
Learning goals
この節でできるようになること
- 手配書が何から守るものかを日常語で説明できる
- 手配書の束が何種類かあることを言える
- 漏れた合言葉の照合が何をするかを説明できる
- 無料で使える束と、有効にする経路を言える
1. 手配書とは
Section titled “1. 手配書とは”本部が刷った手配書には、見つかった手口が載っています。届いた用件がその手口に当てはまれば、決められた処置をします。
Cloudflare では、これを Managed Rules と呼びます。公式は、設定済みの managed rulesets(手配書の束)だと説明しています。
守る対象として公式が挙げているのは、zero-day vulnerabilities(見つかったばかりで直し方がまだ無い弱点)、よくある攻撃手法の上位 10 種、盗まれた合言葉の使用、見せてはいけない情報の持ち出しです。
手配書は定期的に差し替えられます。1 枚ごとに深刻さに応じた既定の処置が決まっており、tags(分類の付箋。たとえば wordpress)でまとめて調整できます。
手配書の束に、分類の付箋が挟まっています。付箋ごとにまとめて扱えます。
つまり、手配書は「調べる人が刷って配り続けている紙の束」です。
2. 手配書の束は何種類かある
Section titled “2. 手配書の束は何種類かある”手配書の束は 1 種類ではありません。厚い束、薄い束、特定の用途に絞った束があります。
代表は Cloudflare Managed Ruleset です。公式は、Cloudflare の security チームが作った束で、既知の攻撃手法と zero-day vulnerabilities を扱い、false positives(正しい用件を誤って怪しいと判定すること)を減らすため頻繁に更新されると説明しています。
もう一つが Cloudflare Free Managed Ruleset です。公式は、すべてのプランで使え、影響が大きく広く悪用されている弱点を防ぎ、ほとんどのアプリで安全に有効にできると説明しています。
このほかに、点数を足し上げて閾値を超えたら処置する Cloudflare OWASP Core Ruleset があります。
厚い束と薄い束が並んでいます。薄い無料の束は、どの契約でも使えます。
つまり、束を選ぶことが「どこまで守るか」を選ぶことになります。
3. 漏れた合言葉の確認
Section titled “3. 漏れた合言葉の確認”利用者が入力した合言葉が、別の場所ですでに漏れていることがあります。本人が入力していても、その合言葉は安全ではありません。
Cloudflare Exposed Credentials Check は、ログインの入口に届いた合言葉の組を、盗まれた合言葉の名簿(公開データベース)と照らす束です。対象は WordPress・Joomla・Drupal などのアプリと、username と password を含む送信のような汎用的な形です。
既定の処置は Exposed-Credential-Check Header で、止めるのではなく「この合言葉は漏れている」という印を付けたまま受付へ通します。
受け取った合言葉を名簿と照らし、載っていれば印を付けて受付へ通します。
つまり、合言葉の照合は「本人かどうか」ではなく「その合言葉が漏れているか」を見ます。
4. 有効にする経路と無料の扱い
Section titled “4. 有効にする経路と無料の扱い”手配書は、置いてあるだけでは働きません。使うドメイン(zone)ごとに有効にします。
公式の経路は次のとおりです。有効にすると、その束をまとめて使う Execute の処置を書いた紙が、検問台に 1 枚できます。設定を変えるときは Security rules のページを開きます。
公式の対応表では、Free plan で使えるのは Free Managed Ruleset だけです。Cloudflare Managed Ruleset・Cloudflare OWASP Core Ruleset・Exposed Credentials Check はいずれも使えません。なお公式は、手配書が用件の中身を調べる大きさに上限があり、Free plan では 1 MB だと説明しています。
つまり、無料の店では「無料の束を 1 つ有効にする」が手配書の使い方になります。
Cloudflare Lab での使われ方
Section titled “Cloudflare Lab での使われ方”ここで紹介した手配書が、いま読んでいる Cloudflare Lab でどう使われるかを見ます。
Cloudflare Lab は Free plan なので、有効にできる手配書は Free Managed Ruleset の 1 種類です。ドメインはできたばかりで、有効化はこれからです。実測(有効にした日、Security rules ページに現れた表示)は実装後に追記します。
つまずきやすいところ
Section titled “つまずきやすいところ”この節のまとめ
Section titled “この節のまとめ”- 手配書(Managed Rules)は、既知の手口に対する備えが入った紙の束です。
- 束は何種類かあり、無料で使えるのは Free Managed Ruleset です。
- 有効にすると、その束をまとめて使う紙が検問台に 1 枚できます。
この節で出てきた言葉を、つながりの順に並べると次のようになります。
図のラベル: 本部の手配書 Managed Rules / 手配書の束 managed ruleset / 厚い束 Cloudflare Managed Ruleset / 無料の束 Free Managed Ruleset / ドメインで有効にする Security → Settings / 束をまとめて使う 1 枚 Execute
次の節では、自分で書く検問の紙を見ます。
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